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現代ほど、医学・医療全般を俯瞰する必要に迫られる一方で、それが困難な時代はないだろう。それは、医学・医療を支えている生物学的な知識と社会的な救済の希望とが、ともに捉えがたい規模にまで拡大しているからに違いない。現代の医学は、あくまでも生物学を基盤としたもので、哺乳動物としてのヒトの構造と機能についての知識を通して、その一部の異常として病気を理解しようという立場にある。一方、われわれの目を医療へと転じれば、そこにはもう一つの異なる思想が見えてくる。それは、西洋風に呼べば「救済」であり、日本風に呼べば「癒し」である。この「癒し」の思想に支持された医療及びそれに類する行為のそれぞれの社会において占める重要度は、常にそれなりに大きいものだろう。しかし、それが現代ほど大きな社会がかつてあっただろうか。本書は、このような状況認識の下で、医学生物学的な視点と医療人類学的な視点の両方から現代医療を俯瞰することを目的に書いたものである。(序より)
今の時代、私たちの最大の関心事は「人間」であり、「いのち」であるでしょう。また、私たちが最も信頼しているものの見方は「科学」でしょう。科学的な人間像を追求し、それに基づいて生命をあずかっているのが「医学・医療」です。
一方で、今の時代は「選択」の時代です。私たちがあるいは家族が病に陥った時、頼るべき医師、治療の方法、いずれについても「自己選択」が迫られます。
自分を知るためにも、自分を守るためにも、いちどは医学・医療の全貌を眺めておきたいものです。
本書は、医療人育成機関の先生方や学生さん、現場の医療人の皆さん、医療関連企業の皆さん、医療行政担当の方、そして、一般の皆様方に、現代の医学・医療の全体を理解していただこうと思って出版しました。今、「医学・医療の全体」を扱った書物がほとんどない状況だからです。ただ、書いてみて、やさしく表現するところまではいけませんでした。ごめんなさい。校正中に、内容が難しいのにそれを補助するための図や表が少なすぎることに気付きました。それで、そのような図や表をこれから考案して、出来るたびにこのホームページに追加していきたいと思っています。時々このページを開いてみてください。(山本)
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